この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
女子大生 水野果歩
第173章 女子大生 水野果歩(173)

果歩 「ぅぅ・・・ぅ・・・」
ようやく涙が止まり始めた頃、ふと何かに気付いたように果歩が顔を上げる。
何か人がいる気配を感じたのだ。
果歩 「・・・・・誰・・・?」
涙に濡れた真っ赤な目で、果歩は気配を感じる方向を見つめた。
果歩 「・・・・・・」
遠くの方に人が立っている。男が・・・ひとりで。
その男はただ呆然として無表情でそこに立っていた。
そしてその男の目はどこか寂しそうでもあった。
果歩 「・・・・富田・・・さん・・・?」
果歩は泣き疲れて重くなった身体でゆっくりと立ち上がり、富田の名前を呼んだ。
果歩 「・・・富田さーん・・・!」
しかし富田は、ただ立ったままで果歩の声に何も反応しない。
果歩 「・・・富田さん・・・ぁぁ・・・富田さん・・・」
気付いた時には富田の所へ向かって走り始めていた。
・・・ひとりは嫌・・・ひとりは嫌・・・ひとりは嫌・・・1人は嫌・・・寂しいのはイヤァ・・・
果歩 「はぁ・・・はァ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
しかし富田はただそこに立っているだけなのに、果歩と富田の距離は一向に縮まる事はなかった。
果歩がどんなに一生懸命に暗闇の中を走っても、富田の所へは辿り着けなかった。
果歩 「はぁはぁ・・・どうして・・・富田さん・・・待って・・・私・・・富田さんがいないと・・・ぁぁ・・・行かないで・・・お願い・・・」
それでも果歩は必死に走り続けた、ただ感情も何もない人形の様に立っている富田を求めて・・・。

