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女子大生 水野果歩
第175章 女子大生 水野果歩(175)

ザーーーー・・・・


身体に付いたボディソープがシャワーの湯で流れていくのをボーっと見つめる。

温かいシャワーはいろんな事を洗い流してくれる。頭と身体に溜まった疲れ、そして辛い記憶も。

どうしても流れきらない記憶はあるけれど、この時間は1日の中で、果歩が唯一心を落ち着かせる事のできる時間なのだ。


果歩 「・・・・・・。」


チャプン・・・・


たっぷりと溜めた湯船の中へ入り、身体の芯までその温かさがジンワリと染み込んでくるのを感じながら、果歩はこの1週間での出来事を思い返していた。いや、思い返すというより、こびり付いて頭から離れない記憶が映像として鮮明に蘇ってくる感覚だ。
それを思い出せば辛くなる事は分かっているのに、どうしても思い出してしまう。






大学の講義室。

講義を受けながらノートを取っていた果歩に、離れて座っていた後藤が人伝いに小さなメモを渡してきた。


裕子 「・・・果歩ちゃん、これ、後藤君から。」


果歩 「ぇ・・・?」


メモを受け取った時点で、果歩は何か嫌な予感を感じていた。

三つ折にされたその小さな紙を開くと中には

【昼休憩 C棟4階の男子トイレに来い 来ないと水野が本当はどういう女なのか大学中に知れ渡る事になるかもしれんぞ ま、そういう事だから宜しく 後藤】

果歩はそのメモの内容を目にして思わず遠くに座る後藤の方を見た。後藤はこちらをチラっと見てニヤニヤと笑みを浮かべている。

後藤のその表情を見た瞬間、果歩は背中にゾクゾクとする寒気を感じ、顔は青ざめていった。


裕子 「果歩ちゃん、後藤君から何てきたの?」


果歩 「・・・ぇ・・・ううん・・・大した事じゃないんだけど・・・。」


果歩はそう口を濁しながら、メモを小さく折り畳んだ。

講義が終わり休憩時間に入ると、果歩は重い足どりで大学のC棟へと向かった。

男子トイレなんかで後藤に何をされるのだろうと、果歩は不安がっていた。

そして果歩のその悪い予感は当たってしまう。

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