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女子大生 水野果歩
第176章 女子大生 水野果歩(176)
本当は何もかもから逃げ出したい。だが果歩はトミタスポーツに行かない訳にはいかないのだ。
それは、そこに富田という男がいるから。
果歩がいるこの暗く冷たい世界に、唯一他に存在しているのは富田という存在だけだ。
自分がこの世界に存在する意味、自分が生きている理由を与えてくれるのは富田だけ・・・果歩は本気でそう思っていた。
すがり付けるのは富田だけで、今の果歩にとって富田に従属する事だけが全て。
それ以外の選択肢は見つからない。
真っ暗闇の中で果歩が見えているのは富田だけなのだから、そうならざるを得ないのだ。
果歩 「・・・はぁ・・・」
スタッフルームのドアの前で、果歩は立ち尽くしていた。
どうしてもこのドアを開ける勇気が、果歩に湧いてこない。
もうこの場で何度ため息を付いただろうか。
すると突然後ろから誰かに声を掛けられる果歩。聞き覚えのある男の人の声だった。
山井 「果歩ちゃん、おはよう!」
果歩 「ぇ・・・あ・・・や、山井さん・・・」
富田と共に果歩の前から姿を消していた男、山井がそこには立っていた。