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女子大生 水野果歩
第182章 女子大生 水野果歩(182)
智恵 「ちょっと康介、お母さん夜ご飯の仕度してるんだからあっちで絵本でも読んでなさい。」
キッチンに立つ母・智恵の脚に後ろから抱き付いている康介は、まだまだ甘えたがりの5歳の子供であった。
康介 「・・・・・・。」
康介はそう言われてもなかなか母・智恵の脚から離れようとしなかった。目に涙を溜めて、何も言わずに智恵のエプロンに顔を埋めている。
智恵 「なぁに?また幼稚園でイジメられちゃったの?」
康介 「・・・ぅぅ・・・・」
康介の涙と鼻水が智恵のピンク色のエプロンに染みを作る。
もう仕方ないわねぇと言いながら、智恵は優しい笑みを浮かべ康介を抱き上げてリビングのソファまで連れて行く。
康介を大きなソファに座らせると、智恵も横に座って康介の小さな手を優しく握って口を開いた。
智恵 「どうしたの?幼稚園で何かあったの?」
康介 「・・・ぅぅ・・・」
智恵 「ほら、いつまでも泣いてたらお母さん分からないわ。」
智恵は微笑みながらもちょっと困ったような表情を康介に見せて、そっと康介の頬に付いた涙を指で拭った。
康介 「・・・あのね・・・良太君がね・・・僕が作ってた泥団子・・・壊したんだよ・・・」
智恵 「泥団子?」
康介 「うん・・・僕が作って隠してた泥団子・・・良太君に見つかって・・・ぅぅ・・・」
智恵 「それで良太君に壊されちゃったんだ?ふーん、それでずっと康介は泣いてたの?」
康介 「だって・・・だって・・・ぅぅ・・・ヒック・・・お母さぁん・・・」
再び涙がわぁっと溢れ出し、康介は泣きながら智恵に抱きついた。
智恵 「もう、仕方ないわねぇ康介は、泣き虫なんだから。男の子がそれくらいで泣いてちゃダメよ。」
智恵はそう言いながら、ワンワン泣き続ける康介の頭を撫でる。
なかなか泣き止まない康介に智恵は少し困った顔をしていたが、我が子を見つめるその母親の瞳は、温かな愛情に満ち溢れていた。