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女子大生 水野果歩
第186章 女子大生 水野果歩(186)
友哉は電話越しに聞えてきた果歩の声に、耳を疑った。
とてもあの恥ずかしがり屋の果歩が言う言葉とは思えない。
恋人である友哉も聞いたことのなかった、果歩の快感に乱れる卑猥な声。
信じられなかったが、その声は確かに果歩のものであった。
友哉は言葉を失っていた。
自分との行為では、果歩はそんな風に乱れた事などない。
精々控えめな声を上げる程度であったのに・・・。
電話の向こうで自分と電話する果歩を責めながら、笑みを浮かべて勝ち誇っている男の姿が目に浮かぶ。
〝どうだ?お前の女は俺とヤッて感じまくってるぞ?お前にはこんな姿見せた事なかっただろ?〟
男の勝ち誇ったようなそんな声が聞こえてきそうで、友哉は何ともいえない男としての劣等感を感じずにはいられなかった。
まったく知らない男に果歩を寝取られた。
性行為の最中に恋人に電話させるような、そんな男に果歩を寝取られた。
まるで頭を金槌(かなづち)で殴られたような衝撃に、友哉は何も言う事ができず、ただ果歩の喘ぎ声を電話越しに聞き続けるだけ。
この上ない不快感と劣等感を感じているにも関わらず、なぜか耳から携帯を離す事ができなかった。
自分とのセックスでは感じる事のなかった快感に可愛い顔を歪める恋人の表情だけが、頭の中を埋め尽くす。
しばらく果歩のあられもない声が聞こえていた電話はガタガタッ!という音と共に切れてしまった。
友哉 「・・・・・・。」
呆然とした表情で、友哉はしばらく電話のプー・・・プー・・・という電子音を聞いていた。
今まで果歩と築き上げてきた愛情が、音を立てて崩れていくのを感じる。
終った・・・と、友哉はそう思った。
相手の男に対する敗北感、打ちのめされた男としてのプライド、果歩を失ったという悲しさ、寂しさ・・・自分の情けなさ。
その夜、海外という遠い地で友哉は、1人男泣きした。
それ以来、何もかもが順調に思えていた友哉の留学生活は、まったく違う暗いものになってしまった。
深く傷ついた友哉の心は、そう簡単に癒せるものではなかったのだ。
留学先でできた友人には〝そんな女の事忘れた方が良いよ〟とよく言われたが、友哉にはそんなに簡単には割り切る事はできなかった。
果歩の事を本気で好きだった。愛していた。