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女子大生 水野果歩
第187章 女子大生 水野果歩(187)
知子 「・・・それでね・・・私、その相手の男の人って、たぶん富田さんって人だと思うの・・・。」
友哉 「富田・・・?」
知子 「果歩が新しく始めたバイト先のオーナーらしいんだけど・・・。」
果歩がその富田という男と関係を持ってしまった事までは知子も知っていた。
しかしそれは一時の関係で、もうすでに別れたものだと知子は思っていたらしい。そして友哉と果歩はよりを戻したと思っていたと。
あの電話以前から果歩がその富田という男と関係を持っていたという事実に友哉はショックを受けながらも、それでも何か胸に引っ掛かるものを感じていた。
・・・もしかして果歩は、その富田という男の良いように振り回されているのかもしれない・・・
知子 「・・・ねぇ・・・どうしよう、友哉君・・・果歩が・・・」
友哉 「・・・・・」
知子 「友哉君・・・果歩を見捨てないであげて・・・あの噂が本当なら、今頃果歩・・・1人で苦しんでるよ・・・」
友哉 「・・・・・」
果歩は浮気をしていた。遠距離恋愛で寂しい思いをさせてしまっていたとはいえ、果歩は恋人である自分を裏切っていたのだ。
だけど・・・
だけど・・・
友哉は果歩の事が心配だった。
友哉はまだ果歩の事を・・・。
今はもう果歩にとって自分は恋人でも何でもない。
果歩に会ったところで、自分には何もできないかもしれないし、何かを言う権利もないかもしれない。
だけど・・・もしその噂が本当なら・・・果歩をなんとか助けてあげたい・・・
友哉 「知子ちゃん・・・俺・・・果歩に会いに行ってくるよ。」
そして、友哉は日本に帰ってきた。
空港に着いた友哉は、そのままタクシーで果歩のアパートへと向かった。
会っても何を言っていいのかは分からない。
もしかして自分にとって辛い現実が待っているかもしれないし、男として惨めな思いをするだけかもしれない。
それでもとにかく果歩に会って、果歩の顔が見たかった。
・・・会ってみないと・・・分からないじゃないか・・・
友哉の中に存在する果歩は、まだあの笑顔の素敵な果歩のままだ。
あの時の果歩を、友哉はまだ諦めきれなかったのだ。