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女子大生 水野果歩
第188章 女子大生 水野果歩(188)

ゴンゴンゴン!!


友哉は少し冷静さを失った様子で、今が真夜中だという事も構わず強くドアをノックして果歩を呼ぶ。


友哉 「果歩?なぁ、少しだけ・・・少しだけでいいから!」


友哉の大きめの声は確実に果歩の耳に届いているだろう。

しかし果歩はそんな必死な友哉の声に応えてくる気配は全くない。


    「おい!うるせぇぞ!!こんな夜中に何考えてんだ!!!」


何処からともなく聞えてきた男の野太い怒鳴り声。
恐らくこのアパートの別の住人だろう。

その怒鳴り声に制止されるように、友哉は果歩を呼ぶのを止める。


友哉 「・・・くっ・・・・」


両手に握り拳を作って下に俯く友哉。

果歩に拒絶され全く相手にされない自分が、果歩から全く助けを求められない自分が、男として不甲斐無く感じたのだ。

友哉はそのまま果歩の部屋の前で、なすすべもなくしばらく立ち尽くした後、重い足どりで果歩のアパートから去っていった。




友哉 「・・・・はぁ・・・・」


真夜中、夜空の下で出た深いため息。

あんなに拒絶されてしまうなんて思ってもみなかった。

無力な自分に嫌気が差す。


・・・どうしたらいいんだ・・・


いや、もしかして今は果歩にとって恋人でも何でもない自分には、果歩に何かを言う権利などないかもしれない。

新しい恋人との問題に口を挟む権利なんて・・・。

あれは単なる噂で、果歩にとって元恋人である自分は煩わしい存在でしかないのかもしれない。


しかし・・・友哉の頭からは、さっき見た果歩のあのなんとも悲しいような表情が離れなかった。

あれは明らかに以前の果歩とは違っている。


・・・果歩は苦しんでいる・・・きっとそうなんだ・・・


考えすぎかもしれない。思い違いかもしれない。

昔の果歩を失いたくないという感情から勝手にそう思ってしまっているだけなのかもしれない。


だけど、あんな果歩の表情は・・・耐えられない・・・


友哉は悩んでいた。

果歩にとってのヒーローになりたい訳じゃない。

果歩の事が心配・・・ただその一心だった。

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