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女子大生 水野果歩
第189章 女子大生 水野果歩(189)
次の日、友哉は大学に来ていた。
講義に出る訳でもない友哉はただ、果歩が来ているかもしれないという思いだけでここに来たのだ。
時刻はちょうど昼休みの時間。
友哉はいつも昼休みに果歩と知子が行っていた大学の食堂にいた。
日当たり良好なあの席、果歩と知子が楽しそうに会話していた時の姿が目に浮かぶ。
友哉 「・・・・・。」
いつも果歩が座っていた席に腰掛け、窓の外を眺める友哉。
講義を終えた学生達が次々と建物から出てくる。皆明るい表情で、大学生活を満喫しているように見える。
友哉 「・・・はぁ・・・」
もう日本に帰ってきてから何度目のため息だろうか。
果歩の事が気になって仕方ない。それに昨日果歩に自分が拒絶された事も、友哉の悩みをより深いものにしていた。
実際ここで果歩に会えたとしても、何と声を掛けたら良いのかさえ分からない。
友哉は頭を抱えていた。
裕子 「・・・友哉君?」
友哉 「・・・ぇ?」
深刻そうな表情を浮かべていた友哉に声を掛けてきた女学生、それは友哉と果歩と同じ学部にいた裕子だった。
裕子 「あれ?友哉君オーストラリアに留学してるんじゃなかったっけ?どうしてこんな所にいるの?」
友哉 「ぇ?あ・・・いや、まぁちょっと用事があってさ・・・一時帰国してるんだ。」
不思議そうな表情で友哉の顔を見る裕子。
裕子 「へぇ・・・そうなんだ。オーストラリアからわざわざ帰ってくるなんて余程大切な用事なのね?」
友哉 「・・・あぁ・・・。」
裕子は手に持っていたランチプレートをテーブルに置いて友哉の前の席、知子がいつも座っていた席に座る。
裕子 「大学の先生にでも用があるの?」
友哉 「いや、そうじゃないんだけど・・・。」
裕子 「・・・・」
友哉 「・・・・」
裕子は友哉にとって特別仲の良かった友人ではない。
大学内で顔合わせれば挨拶だけしていた程度の知り合いだ。