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女子大生 水野果歩
第190章 女子大生 水野果歩(190)
ザーーーーー・・・・
熱いシャワーで全身の汗と、お腹辺りに付いた富田の白濁液を流す果歩。
果歩 「・・・・・」
〝果歩、話があるんだ。それに・・・聞きたい事も・・・俺、果歩の事が心配で・・・〟
〝待ってくれ果歩!!〟
シャワーを浴びながら、浴室の壁をボーっと見つめる果歩の頭の中では、昨日の友哉の声が何回も繰り返し再生されていた。
果歩 「・・・はぁ・・・」
目を閉じてした深いため息が、シャワーのお湯に流されていく。
・・・・どうして・・・
友哉に掴まれた手首に、その余韻がまだ残っている。友哉の手に掴まれた感覚が。
・・・もうこの暗闇の世界から私は出れるはずがないのに・・・
出口の無い真っ暗な世界で、富田の体温だけを感じて生きてきた果歩。
しかし、果歩にとって遠い存在となっていた友哉が突然目の前に現れた事で、果歩の頭は混乱していた。
友哉が帰ってきて嬉しい訳では決してない。果歩は突然現れた友哉の存在に苦しんでいたのだ。
果歩には想像できた。
本当の自分の姿。汚れた自分の本当の姿を見て、顔を引きつらせる友哉の顔が。
果歩 「・・・・・。」
そう思うと、また辛くなってくる。だから果歩は心を閉ざし、再び無表情になる。
心を閉ざせば、辛い思いをしなくて済む。
心の中の狭い部屋で、果歩は必死に両手で耳を塞いだ。
・・・もう誰の声も聞きたくない・・・友哉の声も・・・聞きたくない・・・
そんな果歩は、この暗闇の世界で唯一共存している富田という孤独な男に手を引かれ、より深い所へ、より暗い所へ連れて行かれるのであった。
富田は決して手を放してくれなかった。
果歩は知っている。富田は自分と同じ、悲しく孤独な人間なのだという事を。
だから果歩が富田に付いて行く理由は一つ。期待していたのだ。
富田は自分を、何の苦しみも感じない永遠の世界に連れて行ってくれるかもしれないと。
・・・・・・・・
暗闇の中を手を握って歩く2人。
その2人の手首には、幾つもの切り傷の痕が痛々しく残っていた。