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女子大生 水野果歩
第192章 女子大生 水野果歩(192)
空はもうすっかり暗くなっている。
様々なお店の明かりが光輝く駅周辺の街は、昼間とは違う、夜独特の雰囲気を醸し出している。
居酒屋の前に集まっている仕事終わりの社会人達、路上で楽器を演奏している夢追う若者、手を繋いだり肩を寄せ合せあったりしながら歩くカップル。
多くの人の話す声、足音、タバコの臭い、化粧の臭い、そんな落ち着かない騒々しい所から抜け出した果歩と友哉は、駅裏の薄暗い道路に出ていた。
駅前とは違って少し静かな駅裏。
暗い道の両側には所々青やピンクのネオンの明かりが点いている。
大人の男女だけが歩ける道・・・そんな特別な雰囲気がこの道にはあった。
友哉 「果歩、どこに行くんだ?」
友哉の顔を一向に見ようとしない果歩。
しかし果歩はこの道に入ってから歩くスピードを少し落とすと、俯いたまま小さく口を開いた。
果歩 「・・・私・・・もう大学あんまり行ってないんだ・・・」
久しぶりにちゃんと聞く、果歩の声。
友哉 「・・・そうらしいな。」
果歩 「大学に行ったの?」
友哉 「・・・あぁ・・・行ったよ。」
友哉のその言葉を聞いて、果歩が足を止める。
果歩 「そうなんだ・・・。」
友哉 「・・・・あのさ・・」
果歩 「誰かから聞いた?」
友哉の話を遮るようにして問う果歩。
友哉 「・・・聞いたって・・・何を?」
果歩 「私の話・・・。」
友哉 「・・・・・」
果歩の問いに友哉は何と返したら良いのか分からず黙ってしまった。
相変わらず果歩は俯いたまま友哉の顔を見てくれない。
友哉 「あのさ果歩、俺は・・・」
果歩 「ねぇ友哉・・・」
もう一度果歩は友哉の声を遮るようにして口を開いた。
果歩 「・・・ここ・・入ろ?」
友哉 「え?」
そう言って果歩が向いた方を確認した友哉は目を丸くした。
友哉 「ここって・・・」