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女子大生 水野果歩
第192章 女子大生 水野果歩(192)
果歩が入ろうと言ったそこは、所謂ラブホテルと呼ばれる建物だったのだ。

ここが何をする所なのかぐらい友哉も知っている。

突拍子な提案に、友哉は果歩が何を考えているのか分からなくなった。


果歩 「・・・嫌?」


友哉 「え?ぁ・・・いや・・・嫌ではないけど・・・」


果歩 「じゃあ入ろ?」


果歩の心理はよく分からなかったが、友哉は果歩の要望に応える事にした。

果歩は何かを伝えようとしているのかもしれない。


・・・・・・


建物に入り部屋へと向かう途中、2人は黙り込んでいた。

付き合っていた時にも2人でラブホテルに入った事は数回ある。

その時は二人で腕を組んで、初々しい気持ちで少し胸をドキドキさせながら入っていったものだったが、今は違う。

2人の間に流れる空気は重苦しく、息が詰まりそうだ。

友哉は果歩の様子をチラチラと見て伺いながら、必死に果歩の心理を、気持ちを読もうとしていた。

次に声を発する時、どんな言葉を果歩に掛けたら良いんだろう。

果歩を助けたい・・・だけど今の果歩は自分に助けを求めているのかどうかさえ分からない。



部屋に着いた2人、果歩がドアを開け先に入っていき、友哉がそれに付いて行く。


・・・例の富田という男ともラブホテルに入ったのだろうか・・・


そんな考えがふと友哉の頭を過ぎる。


中には大きなベッドが置いてあり、明るくもなく暗くもない光加減と、窓の無い密閉されたような空気感が、ここがSEXをするためだけの部屋である事を教えてくれる。

妙な緊張感を友哉は感じていた。


果歩 「・・・シャワー・・・浴びてくるね。」


友哉 「え?・・・あ、あぁ・・・うん。」


テーブルに持っていたバッグを置いてそう言った果歩に、友哉は少し動揺した様子で返事をした。

果歩の表情からはまだ何も感情を感じない。

まるで人形のような果歩の表情を、友哉は心配そうに見つめる。


友哉 「・・・・・」


浴室に入っていった果歩の姿を見送った友哉は、ベッドの端に腰を掛け、小さくため息を漏らす。


友哉 「・・・はぁ・・・」


先程見た果歩の人形の様な表情が、友哉の心を締め付けていた。

友哉は悲しかったのだ。

あんなにいつも笑顔で元気いっぱいだった果歩が、あんな表情になってしまうなんて・・・

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