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女子大生 水野果歩
第195章 女子大生 水野果歩(195)
友哉と果歩はSEXを一切していなかった。
あえてSEXをする必要が無かったのだ。
いつか果歩の心が完治すれば、するかもしれない。
でも今はしなくて良いのだ。
今はこうやって抱き締め合っているだけで2人は満たされているし、これが果歩にとって最高の治療にもなっている。
果歩 「・・・・」
同棲して最初の頃は、あの男の事を思い出す事が多かった。
あの男の声、匂い、逞しい肉体。
そしてあの強烈な快感。
果歩にとってはトラウマになっている、悦びと絶望が入り交ざった全身が溶けるようなあの快感。
今頃どうしているのだろうと、あの男の事を思う日もあった。
あの暗く冷たい世界で、唯一共存していた人。
・・・あの人は孤独だった・・・
そんな事を思い出すと、決まって果歩は発作を起こしていた。
号泣したり、過呼吸になったり。
その度に友哉に抱き締めてもらっていた。
友哉 「果歩、大丈夫だよ・・・少しずつ忘れていこう。」
果歩 「でも・・・私・・・あの人・・・1人に・・・」
友哉 「果歩・・・仕方の無い事なんだよ。果歩は悪くない・・・果歩は幸せになっても良いんだよ。」
そうやって果歩は友哉の優しさに包まれて、少しずつあの世界の事、あの男の事を心から消していく。
そしてあの男の事を忘れるのと比例するように、果歩の精神状態は回復していった。
ゆっくりと忘れて、ゆっくりと離れていった果歩。
いつしか、あの男の事は遠い世界にいる存在のように感じるようになった。
そう遠い世界に・・・。
しかし・・・あの男は確かに現実世界に存在している。
その事を友哉も果歩も少し忘れかけていたのかもしれない。
縋る者が居なくなってしまった孤独な人間は・・・あの男は、ひとり暗闇の中をさ迷っていたのである。
愛情と安らげる場所を求めて・・・。