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女子大生 水野果歩
第198章 女子大生 水野果歩 (完)
その日友哉が帰ってきた時には、果歩はめちゃくちゃにされた衣服を着替え、晩御飯も全て作り終えていた。
果歩は友哉に笑顔を向けていたが、その隠しきれない心の影に友哉はすぐに気が付いた。
友哉 「なにか・・・あったのか?」
友哉のその言葉を聞いて、果歩は我慢しきれなくなったのか涙を流し始める。
友哉はそんな果歩の肩を抱いて、2人でゆっくりとベッドに腰掛けた。
そしてしばらく友哉に抱き締められながら泣いた後、果歩は小さく口を開いて、今日富田が来た時の事を友哉に話した。
果歩の話を黙って聞いていた友哉だったが、話が終るとすぐに友哉はこう言った。
友哉 「警察に行こう。」
当然の事かもしれない。彼女が男に襲われたのだから。
しかし果歩はそれを頑なに拒んだ。
果歩 「いいの・・・警察なんて・・・。」
友哉 「でも、またその富田って男が来るかもしれないだろ?そんなの・・・安心して過ごせないじゃないか。」
果歩 「ごめん・・・でも・・・もうきっと来ないと思うから。」
いつも優しい友哉だったが、この時ばかりはさすがに怒りにも似た焦りを隠す事はできなかった。
どうして果歩はその男をかばうような事を言うのか、友哉にその気持ちを理解するのは難しかったのだ。
友哉 「分からない・・・分からないよ・・・」
困惑している友哉の表情。
果歩 「・・・・友哉・・・。」
果歩自身も友哉のその表情を見て、辛くなった。
最愛の人を悲しませてしまっている。
・・・どうしたらいいんだろう・・・
そう考えた後、果歩は決心する。今までの事を全て友哉に話さそうと。
友哉と再会してから、果歩はずっと友哉に守られてきた。そう、ずっと守られる一方。
友哉との未来だけを考えて新たな生活を過ごしてきた。
でも、過去の自分とも向き合わないといけない。今までの事は全て現実なのだから。
もしかして全てを話せば、友哉に嫌われてしまうかもしれない。
でももう逃げられない、逃げちゃいけない。
過去の自分から。