この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
鮮やかな青
第6章 輝く命
するとそこへ姉上、五龍が割って入り、彼女の手を取る。
「兄様は唐変木ですから、仕方ありませんわ。いいですか寿々さん、兄様が馬鹿をやらかしたらわたくしがとっちめてやりますから、すぐ呼んでくださいね」
「五龍さん、大丈夫ですよ。あの人は、いつも私に目をかけてくれていますから」
「いいえ、きっとやらかしますわ! 兄様は優柔不断でいらない事ばかり考える癖がありますから、寿々さんに苦労をかけるに決まってます。子どもが生まれた後も、抱っこしたら壊れそうで怖いとか言い出したり、泣いただけでうろたえたり、そんな姿が目に見えますわ」
姉上の声の大きさに、彼女は少し困っている。そこへさらに油を注いだのは、元春兄上の妻、新庄局だった。
「五龍姫。勝手な憶測で、母体に負担を掛けるのはいかがかと思うが」
一言放っただけで、二人の間には火花が走る。新庄局という人は、元春兄上と同じく非常にさっぱりとした気質である。こちらも夫婦でそっくり、なのだが、姉上との仲は非常に悪かった。
「あら、新庄さん。あなたこそ兄様の性格も知らないくせに、よく言えますこと。それとも実の妹であるわたくしより、知っていると?」