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鮮やかな青
第6章 輝く命
「義兄上が、実際にどう行動するかは問題ではありません。私は臨月の妊婦を前に無責任な噂を吹聴し、無駄に気を病ませるのはいかがと申したまで」
「無駄とはなんですの、わたくしは寿々さんを気遣い話しているのですよ! 世間話も気軽に出来ないような緊張した場では、寿々さんも気が休まらないでしょう。だからこうして和やかに話をしているのに、どちらが無責任なのですか」
「話なら、旦那の悪口ではなくともいくらでも話題はあるでしょう。それに貴女は声が大きすぎる。辺りを通りがかった誰かが聞けば、毛利の信頼を失います」
この喧嘩、理は新庄局にある。だが正しい事を正直に指摘すれば、世の中が正しく回るというものでもない。新庄局という人は、物事を適当にいなすという事を知らないのだ。案の定姉上はますます顔を赤くして、声を荒げた。
「わたくしが、毛利の恥だとでも! あなた、無礼じゃありませんの!? 大体、こちらが手紙を送っても返事をよこさないし、付き合いというものを知らないのかしら!」
「必要な書状には、きちんと返事を書いています。返事が欲しいのなら、中身のある文を送られてはいかがか」