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鮮やかな青
第6章 輝く命
この人なくば毛利の今はない、偉大なる父、元就。その出現に、皆胸を撫で下ろす。が、姉上の問題行動は、まだ収まらなかった。
「お父様っ、元春が酷いのです! 私を馬鹿だと侮辱し、いじめるのですわ!」
もう結構な年だというのに、姉上はためらいなく父に抱きつき訴える。すると娘に構われて目のくらんだ父は、話をよく聞かず姉上に味方するのだ。
「元春、お前はどうしてそう五龍をいじめるんだ。五龍は婿殿を支え、滞りなく家を回す賢妻ではないか。なぁ、婿殿」
そう訊ねられると、宍戸殿は顔を緩ませ頬を染め、鼻の頭を掻く。
「それはもう、頼れる妻です。今回も初産で不安であろう寿々殿の支えになりたいと、自ら手伝いを申し出てくれまして……」
姉上は、武家の女として決して無能ではない。母上の教育の賜物だろう、むしろ性格を考慮しなければ、立派な女性である。しかしだからこそ、たちが悪い。こうして父が甘やかして、ますます過激な性格に拍車がかかるのだから。
「ほら見ろ、元春、きちんと謝りなさい」
「はっ、知ったことか。謝るなら、場を騒がせて済まなかったと義姉貴に謝るっての」