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鮮やかな青
第6章 輝く命
 
 今日の兄の着物は義姉様に合わせたのか、淡い青であった。雪が大地を染めるように、彼女に染まる兄の姿に、胸がちくりと痛んだ。

「ともちゃんも、久し振り。大きくなったね」

 私の内心には気付かず、兄はすすけた頬を緩ませてともと挨拶を交わす。先程の騒動で緊張していたともも、兄の空気に表情が和らいでいた。

「帰るなり姉上と元春夫婦が諍いを起こして、大変だったんですよ? 兄様がそばにいれば、そんな事にもならなかったのに」

「はは、またやったんだね、姫。まあ、五龍が我が儘なのは仕方ないよ。父にとっては、大事な女の子だから」

 私は詳しく知らない話だが、父には兄の上にもう一人、姉がいたらしい。が、その子は幼くして亡くなったため、後に生まれた娘である姉上は溺愛されたらしいのだ。

 もしもう一人の姉上が生きておられたら、私の味方になってくれただろうか。それとも姉上のように、気の強い方だっただろうか。誰にも、それは分からない事であった。

「五龍は何だかんだで宍戸殿が好きだから、本当にぎりぎりの引き際は分かっているよ。放っておけば収まるから、少し休んでいくといい」
 
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