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鮮やかな青
第6章 輝く命
詳しい話も聞かない内から姉上の擁護に回る辺り、兄もよく分かっている。私が逃げてきた事も、お見通しのようだ。兄はその辺りに置いた木箱に腰掛けると、蔵を見回した。
「それにしても、探しているとなかなか目当ての物は見つからないね。蔵の管理も、もう少し考えた方がいいな」
「何か探しているなら、誰かに任せれば良かったのではないですか?」
「うーん……茶器は、多分他の者じゃ見分けがつかないと思うから、自分で見た方が早いんだよ」
茶器というものは、結局は金持ちの道楽である。唐物だなんだと有り難がって、それを集められる財力の自慢に使われる。目利き出来なければ貧乏人と商人からは馬鹿にされるが、私はあまり茶器が好きではなかった。
「このようなもの、なんの役に立つというのですか。茶器の目利きを覚える暇があるなら、その年の米をいかに皆へ配るかを考えた方が有益だと思います」
「そう言わずに。確かに道具は所詮道具だけれど、使い道はいくらでもあるよ」
兄は大内の家風を受けたせいか、茶器や歌、絵や能などの文化にやたら詳しい。茶器を一つ手に取ると、それを大事そうに抱えて口を開いた。