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鮮やかな青
第2章 歪んだ性癖
日も昇り明るい時間だというのに、当たり前のように出る下世話な言葉。思わず眉を寄せそうになってしまうが、咳払いしてごまかした。
「すぐにとはいきませんが、新しく城を作ろうと考えています」
「城? 小早川には高山城があるのにか?」
「高山城が悪いという訳ではありませんが、なだらかな女山に建つ今の城より、向かいの男山に建てた方が守備に優れていると見ました。居城を新しくして、そこから城下を眺めれば、自ずと皆も心が切り替わるでしょう。新しい時代が、始まるのだと」
「なるほど、それは確かだの」
「それと、これからは水軍の強化が必至と思います。そちらにも力を注いでいきたく思います」
「ふむ、日本は水の国だからの。良い目の付けどころだ」
義隆は機嫌良く笑い、私を褒めてくれる。が、すぐに扇子で口元を隠すと、小さな溜め息をごまかした。
「だが、新しい時代とは何かを、分かってはおらぬようだな」
私の考えは、決して見当外れではないはず。にも関わらず否定されて、私は正直動揺してしまった。義隆が何に引っかかり溜め息をついたのか、全く理由が理解出来なかった。