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鮮やかな青
第2章 歪んだ性癖
「お主は聡い。若いが、実戦での功績もある。将来、間違いなく知将と呼ばれるであろう」
「あ、ありがたきお言葉です」
「だが、決して頂点に立ってはならん。隆元の下で、ただあの子の支えとなりなさい。それがお主の才を、一番生かせる生き方だろう」
その言葉は、いささか心外である。兄を引きずりおろそうなどと考えた事はないが、私とて一つの家を持ち、多くの命を養う立場だ。兄もまた、同じく毛利家の未来を背負う身。私と兄は、対等な立場であるはずだ。
「不服か? だが不服だと思う事自体が、余の目利きが正しい証拠よ」
「いえ、不服などとは……しかし、どうしてそう思われたのか、私はまだ若輩者故理解出来ておりません。その言葉の真意を、知りたく思います」
「ふふ、ほんにお主は聡い子だ。毛利の子は二人とも優秀で、実に羨ましい」
父の子である元春兄上は、すっかり義隆の頭から消え去っている。そんな男に何が分かるのかと、私は内心考えていた。
「隆景、お主は稀代の将だ。しかしな、隆元は稀代の王なのだ。どちらも簡単になれるものではないが、民の上に立つべきは王なのだよ」