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鮮やかな青
第2章 歪んだ性癖
が、いくら雑兵が集まろうと、将がなくては動く事も出来ない。民だという答えでは、真実の半分ではないのだろうか。
義隆の笑い声が、耳に障る。奴が何に笑っているのか、私には理解出来なかった。
「次に隆元と顔を合わせたら、その真意を訊ねてみると良い。この思考の差異が将と王の違いなのだと、お主なら気付くだろう」
昨日はあんなに私と兄が似ていると話していたのに、今日は違うと語る。この男が想像する兄という存在が、私には想像出来なかった。
「いずれにしても、小早川家を纏めていくのは難儀するだろう。新しい城か。完成したら、余を招待してくれよ」
招待したら何をされるのかと想像すれば、背筋に寒いものが走る。しかし頭を垂れなければ、不利になるのは我が毛利家。腹の中で渦巻く黒いものを全てしまい込んで、少しでも顔が見えぬようにと深く頭を下げた。
義隆への謁見が済んでも、私の行く道にはまだ山ほど試練が待ち受けている。ひとまずは、乗っ取りを果たした小早川家の統治。兄が義隆に問いに答えた真意は気になるが、それを聞きに本拠へ帰る暇などなかった。