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鮮やかな青
第2章 歪んだ性癖
小早川家の未来のため、私へ身売りする羽目になった少女は、まだ年端もいかない幼子である。婚礼の白い衣装は、彼女にはまだ似合わない代物だった。
「景さま、これから末永く、よろしくお願いします」
世話役に教えられたのだろう、「とも」と名乗る彼女の所作は、僅か八つという歳に似合わずしっかりとしていた。利発そうな顔つきをして、名の通り「智」のある娘なのだろう。だが、この幼さで十も離れた私を夫としなければならないのは、あまりに不幸だった。
婚儀が済めば、始まるのは宴会。上座に座らされるのは私達だが、皆が心奪われているのは酒と食事だ。だが集まり賑やかに話しているのは、皆小早川の関係者。知らない顔は、私だけ。嫁入りした娘は、皆このように気まずい思いをしながら座っているのだろうか。愛想良く笑ってみても、どこか居心地は悪かった。
あまり遅くまで酒呑み達に付き合わせては不憫だろうと、私は早めに退出を求める。これが年頃の娘であれば、そのまま初夜を迎える事になる。が、彼女はまだ行為に至る歳ではない。一つの布団こそ用意されているが、やる事と言えば文字通り寝る事だけだった。