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鮮やかな青
第2章 歪んだ性癖
上手く私を溺れさせれば、小早川家の手綱を握れるかもしれない。それが無理でも、愛娼となればその家が優遇されるのは間違いない。小早川家へ入る。それを不満に思う者だけが、行動を起こしている訳ではないという事である。
これがどこかの大内義隆ならば、喜んで閨を共にしただろう。だが、愛欲に溺れる程度の人間だと思われた事が、私は不愉快だった。小早川家を継ぐに当たって邪魔な者は父と義隆に排除されたが、私の方でも、粛清を行わなければならないかもしれない。
娘を仕込んだ者の名は、しっかりと覚えた。後はこの娘本人の処理をどうするかである。
「……分かりました、では今日は、相手を頼みましょう」
一度も抱かずに返してしまえば、向こうも意地になって娘を押し付けてくるだろう。一度相手をしてから追い出した方が、相手も文句は言い辛くなる。欲など毎日の宴の疲れで全く溜まっていなかったが、仕方なく布団の中に入った。
だが私は、一つだけこの娘に感謝しなければならなかった。娘をこうして抱こうとしたおかげで、知らぬ間に心へ植え付けられていた闇に気付く事が出来たのだから。