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鮮やかな青
第2章 歪んだ性癖
「それにしても、こんなに美しい方が小早川の当主になるとは思っていませんでしたわ。とも様が、羨ましい……」
娘は寝転がる私の上に乗ると、自ら唇を寄せてくる。私から動くのも面倒だし、主導するつもりなら都合がいい。そう思った瞬間だった。
「――っ!」
娘の化粧の匂いが鼻を支配し、唇が触れようとすれば、娘の顔が義隆にすり替わる。頭の中に響く、兄の名を呼ぶ老いた男の声。私は無意識に、娘をはねのけていた。
「きゃあっ!」
たった一瞬で、私は額に脂汗を浮かべていた。にも関わらず、体は凍ったかのように冷たい。娘は驚き、尻餅をついたまま硬直していた。
「あ……す、すいません、大丈夫ですか?」
慌てて娘の肩を押さえると、娘は涙を浮かべて私の胸に飛び込んでくる。肌が触れると、やはり嫌悪感が腹の奥から沸いてきた。
「わたくし、何か失礼をしてしまったでしょうか……申し訳ございません」
「いえ、その……違います、ただ、驚いてしまって」
あまり邪険に扱って、悪い評判を流されても都合が悪い。ごまかすには、自分から手を回すしかなかった。