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鮮やかな青
第1章 兄の存在
大内義隆とは、評判の悪い男だった。特に色欲が深く、美しい娘を見つければすぐに手を出し、また美しい少年を見ても男色に走ると評判だった。
しかし義隆は、強い男だった。強いと言っても、腕力に優れている訳ではない。事実私を抱くその腕は武士にしてはいささか細く、頼りないものだった。
彼の強さとは、財力だった。戦とは、数だ。いくら強い将が一人存在しても、百万の雑兵を根まで絶やす事は出来ない。そして数を揃えるためには、金がいる。義隆は金を集める才に関しては、この中国という地方で最も優れた人間だった。
強い者に頭を垂れなければ、小さな一族は淘汰されてしまう。毛利の一族を預かる父は、大内家へ命を託した。そして結果が……これだ。
「隆元は、とても優れた子だった。お主も小早川家の当主として、余を支えてくれるだろう。お主ら毛利の血族には期待している、これからもよく尽くせよ、隆景」
細い指が、私の肩を押さえる。同時に、尻へ感じる熱。男として生を受けた私には、男を受け入れる器官などない。彼はその私へ、無理矢理に杭を打ち込もうとしているのだ。