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鮮やかな青
第2章 歪んだ性癖
義隆の声が、響く。その声を聞きながら堕ちていく兄の姿は……きっと、美しい。
「兄様……っ!」
びくんと背筋が震え、私は越えてはならない一線を越えてしまう。私は、頭の中で犯される兄を妄想しながら、達していた。
不能、ではない。しかしそれ以上に、私の体は壊れている。下半身に集まった血潮が落ち着いて取り戻した理性は、ますます私を焦らせた。
私はどうして、兄を妄想し達してしまったのか。まさか、実の兄に懸想するなどと、二重にも三重にも許されない想いを抱いたというのだろうか。
いや、違う。そんなはずはない。いくら義隆が耳元で囁いたところで、私は兄がどんな人間かまるで知らない。知らない相手に懸想するなど、考えられなかった。
きっと一度顔を合わせれば、現実に気付き歪な欲も収まるだろう。そう思い、私は欲にまみれた手を清め筆を取る。ともを連れて結婚の報告をしたいとでも理由付ければ、少しの間高山城を離れても問題はないだろう。私は祐筆を使うという発想も忘れ、自ら毛利の本家、吉田郡山城へ向かいたいという旨をしたためた。