この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
鮮やかな青
第2章 歪んだ性癖
「あ……冬になるとよく元春兄上と、雪合戦をして遊んだものだよ。けれど雪が積もると一番はしゃいだのは父で、大人げなく乱入した事もあった」
「雪合戦……それは、面白いのですか? 景さま、雪が降ったら、わたしとも雪合戦してくださいませ!」
「それは構わないけれど、女の子なら雪合戦よりももっと他の遊びもあるだろう?」
「いいえ、景さまと一緒の遊びがいいんです。ふふ、雪が楽しみですね」
今はまだ、山は緑に囲まれ冬の気配はない。私が頷けば、ともはますます笑みを深めた。
――しかし、確かにこの城は、以前よりも攻めにくい城へと変わっている。本丸にある父の屋敷へ向かうのは、阻む者がいなくとも骨が折れる道だ。攻めるなら、どこから向かうべきか。私の頭の中は、いつの間にか模擬戦を始めていた。
父とはそう久し振りの再会ではないが、顔を合わせたその瞬間、なぜかいつもより機嫌良く父は笑う。目尻には歳のせいか皺が深く出来るが、眼光に衰えはない。父、元就は、今日も健在のようだった。
「そちらが、小早川殿の娘か。ふむ、可愛らしい女子ではないか。隆景はこれで案外気の強い男だ、しっかり尻に敷いてやれよ」