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鮮やかな青
第2章 歪んだ性癖
 
「あ……冬になるとよく元春兄上と、雪合戦をして遊んだものだよ。けれど雪が積もると一番はしゃいだのは父で、大人げなく乱入した事もあった」

「雪合戦……それは、面白いのですか? 景さま、雪が降ったら、わたしとも雪合戦してくださいませ!」

「それは構わないけれど、女の子なら雪合戦よりももっと他の遊びもあるだろう?」

「いいえ、景さまと一緒の遊びがいいんです。ふふ、雪が楽しみですね」

 今はまだ、山は緑に囲まれ冬の気配はない。私が頷けば、ともはますます笑みを深めた。

 ――しかし、確かにこの城は、以前よりも攻めにくい城へと変わっている。本丸にある父の屋敷へ向かうのは、阻む者がいなくとも骨が折れる道だ。攻めるなら、どこから向かうべきか。私の頭の中は、いつの間にか模擬戦を始めていた。

 父とはそう久し振りの再会ではないが、顔を合わせたその瞬間、なぜかいつもより機嫌良く父は笑う。目尻には歳のせいか皺が深く出来るが、眼光に衰えはない。父、元就は、今日も健在のようだった。

「そちらが、小早川殿の娘か。ふむ、可愛らしい女子ではないか。隆景はこれで案外気の強い男だ、しっかり尻に敷いてやれよ」
 
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