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鮮やかな青
第2章 歪んだ性癖
義父といっても、ともから見れば父は祖父くらい歳が離れている。さすがに緊張しているのか、ともは顔を強張らせていた。
対面もそこそこに、父はともを下がらせ私と二人になる。小早川家には、実家へ挨拶に向かうと伝えればそれでよかった。しかし父は、私がそんな理由でわざわざ実家に足を運ぶと思うはずがない。とはいえ、性癖を正すため兄に会いたいなどと、馬鹿正直に話すわけにもいかない。私は父へ向けた言い訳も、一つ考えておかなければならなかったのだ。
「して、隆景。何故に、高山城を放り出して帰ってきたのだ?」
「はい、実は家中の統治についてです。今後のため新たな城を築こうと考えたのですが、一筋縄ではいきません。もう少し家中を整理すべきかと思っているのですが、父上ならばいかに動くでしょうか」
家中の統治について、色々と思案しているのは本当だ。それを伝えれば、父は特に不審がる様子もなく、顎に手を当て頷いた。
「整理とは、つまり粛清を? ならば答えは一つだ。家臣を手打ちにするのは、なるべく控えるべきだ」
父はついこの間、家臣であった一族を一掃したばかりである。だが私には、それを否定した。