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鮮やかな青
第2章 歪んだ性癖
父の話を纏めれば、つまりはあまり家臣を手打ちすれば信用を失い、かえって統治は難しくなる、という事だった。しかし父は、それだけの話を実に冗長に、何回もくどくどと語る。正座した足が痺れを覚えてもなお、父は長々と話を続けていた。
早く終わらないかと思いながら聞き流していると、部屋の外から声がかかる。その声は、普段は吉川家の人間として離れて暮らしているはずの、元春兄上だった。
「入るぞ、親父」
これは私にとって、助け船だ。兄上が無遠慮に襖を開いた事で、父の説教がようやく止まった。そして父の関心は、そのまま元春兄上へと変わっていく。
「おお、元春! よく来たな、ほら、座れ」
「ったく、こっちだって都合があるんだから、そうほいほいと呼び出すなよな」
私が来ると決まってから、元春兄上にも誘いの手紙を送ったのかだろうか、元春兄上は懐から手紙を出すと、それを父に返した。
「いや、隆景が来るなら、今後について少し離そうと思ってな。ご苦労だった」
「しかし、隆景が自分から帰るなんて言い出すとは、珍しいな。そんなに嫁が気に入ったのか?」