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鮮やかな青
第2章 歪んだ性癖
元春兄上は両手を前に組み顎に手を当てると、うんうんと頷く。
「確かに、大きくなったら美人になりそうな顔だったから、今のうちから育てておきたくなるかもしれないな」
「元春兄上、ともと会ったのですか?」
まるで顔を合わせたかのような言い草に、私は首を傾げる。すると元春兄上は、思いがけない名前を挙げて頷いた。
「ああ。中庭の縁側で、兄貴と一緒にお絵描きしてたぞ」
次男である元春兄上が、兄貴と呼ぶのはただ一人。毛利隆元、その人である。しかしなぜ、兄とともが二人でいるのか。私の腹の中に、何か黒い物が渦巻いた。
「……すみません、父上、元春兄上。少し、様子を見に行ってきます」
「なんだ、嫉妬か? まだ小さい嫁なんだから、自重しろよ」
元春兄上に言われて、私は心臓を飛び跳ねさせる。嫉妬なんて、馬鹿馬鹿しい。嫉妬だとすれば……私はどちらに妬いていると言うのか。元春兄上の軽口は無視して、私は部屋を立ち去った。
城は、様々な改築がされているが、中庭はおいそれと増築出来るものではない。二人を見つけるのは、簡単な事だった。