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鮮やかな青
第3章 兄の手
日も暮れ、賑やかな宴も過ぎた頃、私達三兄弟はひっそりと父の部屋へ集められる。現れた父は、家庭の顔ではなく将の顔をしていた。
「さて、これからの毛利についてだが、改めてどうするか確認しておこうと思う」
弱小の国人衆から、大内と対面出来るまで毛利をのし上げた人、元就。目を見つめられると全てを見抜かれそうで、我が父ながら恐ろしい。兄も元春兄上も、気を張り拳を結んでいた。
「陶の奴は、いつ反旗を翻してもおかしくはない。もはや止められはしない、近く……中国は、荒れるぞ」
「俺の所にも、度々陶から書状が届くぜ。大内に動揺が走れば、尼子の奴がどう動くかも分からないからな、俺達を盾にしておきたいんだろう」
「大内は、先の戦で子を亡くして以来、すっかり戦を忘れてしまった。子を失う事は同情するが、今は乱世。牙を収め、戦わない将など、存在価値はない」
するとそれに反論するように手を挙げたのは、兄だった。
「しかし、陶様が本当に、義隆様を隠居に追い込むだけで済ませるでしょうか? 口ではそう言いながら、自分が大内の権力を握ろうと企んでいるのでは」