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鮮やかな青
第3章 兄の手
私が素直に頷けば、父も満足げに頷く。誰にも告げてはならぬ話、父の真意は、気になるものだった。
「陶の謀反だが、周りの国衆は義隆の首を求めている。おそらく本人は成り代わる気などないだろうが、いざ行動に移せば、周りが義隆の生存を許さんだろう。陶はおそらく大内を乗っ取る形になる。本人の意図に構わずな」
「大内は、滅びると?」
「仕方あるまい。戦から逃げ、放蕩した者の自業自得だ」
「しかし先程、兄様には陶を信じろと言ったではありませんか。滅びると思うなら、あのようなごまかしは……」
「隆元は、義隆に近い男だ。あやつ自身義隆の人質であるし、嫁も義隆の養女。素直に話せば、大内に味方してしまうだろう」
先程の様子を見る限り、兄はあまり陶の話に乗り気ではなかった。大内に思い入れがあるのは、間違いないだろう。
「滅びる勢力に肩入れして、共に沈まれては困る。ひとまずはあやつが勝手に動かぬよう、押さえておかねばなるまい」
「でしたら、無闇にごまかさず兄様を説得すればいいのでは? このまま陶が謀反を起こし、義隆が死ねば、兄様の中には陶への不信が残ります」