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鮮やかな青
第3章 兄の手
 
「そう固くなるな、隆景。兄も父も、戦の時は共にある。この戦いの真の鍵となるのは、お前だ。だが、全てを丸投げする訳ではない。お前が自由に動けるよう、皆で手を尽くすつもりだ」

 大内にも陶にも近すぎない私の存在。どこへ転がっても対処出来るよう、伏兵として潜むのが私の使命だ。今までになく重要な役目だが、父はあくまで柔和な顔を見せる。私が重圧で震える事など、想定はしていないのだろう。

 震えてなるものか。次の戦において、一番重要な役を仰せ付かわれたのだ。武人として、これほど喜ばしい事はない。この期待に応えてみせないで、将とは名乗れまい。

「お任せください、父様。その時が来るまで、必ず小早川を纏め上げてみせます」

「期待しているぞ。お前は、自慢の息子だからな」

 次、がいつやってくるのかは、まだ分からない。父の予測通り世が乱れたとしても、大内家が有する力は大きい。いつ隙が現れるかは、実際動いてみないと全く予測が付かなかった。

 その時まで出来る事は、ただ一つ。まだ余所者気分の抜けない小早川の全てを手中に収め、備える事だけだった。
 
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