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鮮やかな青
第1章 兄の存在
「っ、う、はっ、ぐ……」
「我慢せず、声を上げるともっと良くなるぞ。お主の兄は、それはもう可愛らしい声で喘いだものだ」
私にとって、この衝撃は得体の知れない苦痛でしかない。だが義隆は、そう囁いて私の中心を握る。器用にも腰を振りながら、萎れた私自身を扱き始めた。
兄は、これを気持ち良いと思っていたのだろうか。攪拌された頭の中で、私は兄の存在を探し出す。あの人は、そんなに淫らな人だったのだろうか。
母上によく似た、女性のように美しく豊かな黒髪。薄い唇は血色が良く、いつも三日月のように穏やかな笑みを浮かべていた。
父と同じ、少しつり目の兄。けれど、腹の底で何を考えているか分からない父と違い、兄の瞳には正直な光が宿っていた。
『久し振りだね、隆景』
耳にすると、気の抜ける兄の声。そういえば兄が私と顔を合わせると、いつも第一声はこれだ。会うたび会うたび久し振りなのだから、兄もそう声を掛けるしかないのだろう。
私が覚えている中で一番古い兄の姿も、そう言って私に手を差し出した時だった。あれは私がまだ幼い頃、兄が毛利家の人質として、ちょうど義隆の元から帰ってきた時の事だった。