この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
鮮やかな青
第4章 激動の年
 
 私が手を差し出せば、彼はしっかりと握り返してくる。肌に感じる血潮の熱は、花押よりも深く信頼を感じた。

「殿様のお気に召す酒を、必ず用意します。殿様のようなお方に飲んでいただけるなら、きっと酒も本望でしょう」

 皆が気に入れば来年も、とは言うが、この真っ直ぐな気性の男が作る酒を嫌う者が出るはずもない。新たな小早川家の幕開けに、これ以上に相応しい酒はないだろう。掴み取る事の出来た未来に、私は熱く握手を交わした。

 そして、忌まわしく古い時は過ぎ去る。宴で騒いでいた者達も、除夜の鐘が鳴り始めればぴたりと黙った。

 静けさの中、ゆっくりと響く鐘の音。私の奥底へ住み着いた魔をも打ち払ってくれれば、どれだけ有り難いか。試しに女を抱く事を想像してみるが、それだけで背中に寒気が走る。想像だけで血が引くとは、むしろ性癖は悪化しているようだった。

 激動の年が、始まる。しかしその年の始まりは、良い酒と響く鐘のゆったりとした音に満足し、いつの間にか居眠りしてしまった皆の寝息により迎えられた。驚くほどに、静かな幕開けであった。
 
/113ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ