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鮮やかな青
第1章 兄の存在
 
 欲望が中で弾けたその時、義隆が叫んだのは兄の名前だった。どく、どくと溢れる白濁に満足し私の背中へ覆い被さりながら、荒い息で呼ぶのも兄の名前だった。

「ああ……隆元、隆元……」

 私は今、十八である。つまり十も歳の離れた兄は、二十八。兄は男色の相手を務めるのは不可能な、大人の男の体へと変化していたのだ。

 その者個人が好きであれば、年など関係はないだろう。だが義隆が求めるのは、少年という若い性だ。兄の性は、もはや感じる事の出来ないものだった。

 私にその影を求めるほど、兄は良かったのだろうか。それを知る義隆の掌は、私が放出した穢れで濡れていた。

 義隆は私から下りて隣に寝転ぶと、それを見せつけちろりと舐める。

「この味も、そっくりだ」

 私は義隆の手を取ると、自ら白濁を舐める。生臭く、苦く、そして甘いそれを唾と共に飲み込みながら、再び自身を勃起させていた。

 この味は、私の味ではない。もう二度と戻る事のない、大人と子どもの境にいた兄の味なのだ。

 義隆は、私に兄を求め抱く。しかし私自身も、義隆を求めて屹立していた訳ではなかった。だが、私にこの味を覚えさせたのは間違いなく義隆である。私の人生を歪ませたのは、この男だった。
 
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