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鮮やかな青
第5章 月の影
その行為に、私は若干の後ろめたさがある。もちろん一番は可愛らしい幼子を純粋に好ましく思う気持ちで抱き留めているのだが、実験の意図もあるのだ。
義隆が死んだ今も、私は男女の交わりに恐怖を抱いている。想像しただけで吐き気を伴うくらいに、深く嫌悪が根付いていた。
閨を共にする相手が男なら平気なのかと、試した事もある。が、それも不可能だった。男だろうと女だろうと、行為そのものが駄目なのだ。
だが、欲がない訳でもない。死んでも実行は出来ないが、私は兄を妄想の中で幾度と思い描き性を発散させている。そうする事でしか、私は達する事の出来ない体になっていた。
それが、良いと言えるはずがない。私はともならば、こんな状況を打破できるのはと期待していた。
こうして小さなうちから触れるのに慣らしていけば、いざ抱かねばならない日が来た時も平気かもしれない。この娘は嫌悪の対象ではないと、今から肌に教え込もうと決めていた。
正直な話、身勝手である。私の異常に付き合わされる幼子に、同情の気持ちも抱いてしまう。だが可哀想だから手放す、という訳にもいかない。これが小早川の未来にとっても最善だと、そう納得させるしかなかった。