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鮮やかな青
第5章 月の影
 
 ともは空ではなく、坂を指差し守備について語る。ついこの間は、私が話をしてもぽかんとしていたのに。

「ともは、武家の男子にも負けないくらい知識があるね。頼もしいよ」

「はい! 景さまがいない時に悪い奴が襲ってきても、わたしが撃退します。景さまが作った城なら、大丈夫です!」

 私もこのくらいの年の頃は、早く戦で功を得たいとはりきっていたものだ。もちろん留守の間に居城が襲われるなどという失態は避けたいところだが、やる気を持て余すのも可哀想だろう。男子ならすぐ戦に出られるが、ともは女だ。

「じゃあ、模擬戦でもしようか。私が攻める役をするから、ともは守るために策を立ててくれ」

「はい!」

 頭の中で様々な城攻めを想定しながら、私達はあれこれと語る。敵の立場になって考えてみるのはなかなか有益で、改めて城の防御について見直せた。最後には大人げなく本気で言い負かしてしまったが、ともは拗ねるどころか悔しがり、さらなる成長の兆しを見せていた。

 このような話は、まだ形だけとはいえ、夫婦の会話にしては色気がない。しかし私にとっては、充実した時間であった。
 
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