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魔法の右手
第5章 蓋をしてきた事実
自宅のあるいつもの駅で家までの帰り道、数日前、大翔と話をしながら帰った事を思い出した。


あの日も気持ちが落ち着かないで、モヤモヤした気持ちの中帰るはずだったのに大翔と帰った事で少し気持ちが薄れたんだっけ…?


あっそうだ。今度一緒に飲まない?
近況報告でもしようって言ったよね?
仕事忙しいかな?
大翔だし、連絡してみようかな?


鞄から携帯を取り出して大翔に電話をかけた。


〜〜♪〜〜♪〜〜♪〜〜♪〜〜♪


で、ない、かな?


『…はい……』

出た!

「大翔……。話したい事があるの…。付き合ってくれない⁈」

『……。』

「あっ、いっ、忙しい?ごめんね。嘘!嘘!また今度、前もって連絡する。」

『……今…どこにいんの?』

「家の…家の近くで、す…。」

『じゃあ、六本木のタワービルまで来い。』

「は、はい!今すぐ行きます!」


人には言えない事情のくせに、幼馴染だからって、イタイにも程がある…よね?

このナーバスな気持ちをどうにかしたいからって、大翔にも話せないし、私…なにやってんだろ…。




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