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魔法の右手
第7章 考えられないくらいに…
* * *



「…彼女と……彼女と同棲してるんじゃないのね…」

余りにも何もない部屋を依莉は一通り見渡して、そう言った。

……ああ…俺が一人暮らしを始めた理由に依莉が暴走してそんな事言ってたな…。

「…物が…全然ない…。」

「…寝る為だけに帰って来るだけだから」

「それに…リビングにベッド…変じゃない…?」

「これでいいんだ…。誰も来ないし、都内の夜景が1番キレイに見える。」

夜遅くまで仕事して、帰ってくる為だけの部屋だから部屋の1番いいスペースにベッドを置いた。

俺は、上着を脱ぎ、ネクタイを緩め、ベットに腰掛けた。





「…依莉…来いよ。」




………。





依莉はゆっくりとベットに腰掛けた俺の両足の間に入り首に腕を回して上から見下ろす。


“家庭を持っている人を好きになった”


そう依莉は言っていたが、お互いいい大人だ…。


“好き”程度での距離じゃない…もっと先の…後戻り出来ないほどの関係だろう。







「……何も考えられなくしてやる…」




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