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魔法の右手
第2章 曖昧
駅の反対側のこじんまりした路地裏のバー



仕事の終わる時間が遅く、いつもそこで店長と2人でお酒を飲む。



バーは地元の人にもあまり知られていない。



店内は薄暗く、ウイスキーの瓶が壁にビッシリと並べてあり、カウンターにはマスターが1人。常連の人達が多くて、大抵見覚えのある人が1人、2人で飲みに来る隠れ家的なバーだ。



「依莉は何飲む?」



「まずはビールをお願いします。」



「ふっ…おじさんみたいだね。」



「まずはビール‼︎これ常識ですよ?」



「そうかなぁ〜今時の若い子は自分の好きな物を頼むよ?」




アラサー女子の私は決して若いとも言えない…店長のような30歳半ばの人には20代は若い内に入るのかな…




「いいんです。ビールで喉を潤したい‼︎」



「じゃあ俺も同じ物をお願いします。」



バーテンダーに告げて、2人で1日の疲れを癒す為に乾杯した。



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