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タワーマンションの恋人
第9章 * ナナミ






「じゃ、2時間後くらいに迎えに来るから。」
奥原さんはそう言って鞄を肩にかけなおす。

「え?!」

思わず声を上げると、奥原さんとナナミさんは声を合わせて笑って顔を見合わせた。


「大丈夫だよー!獲って食べたりしないからっ」
可愛らしい笑顔でナナミさんが笑う。

「じゃ、あとはナナミ、任せたわよ。」

「うん、またあとでねー!」

そのやり取りの自然さで、二人の関係の深さが伝わってくる。

「ほら!華もそんな緊張しないのっ!大丈夫!このお姉さん優しいからっ。」

笑顔で言うと、奥原さんは颯爽と部屋を出て行った。



部屋には、わたしとナナミさんの二人きりになった。



「いきなりびっくりしちゃうよね、ごめんね?」

そう謝ってきたナナミさんに向かって首を振る。
人のおうちにお邪魔するのに、なんの手土産もなく恥ずかしすぎる。

「こちらこそ、急に、ごめんなさい、」

「ううんっ!違うのっわたしがね、華ちゃんに会ってみたいって言ったの。」

「へ?」

「奥原さんからね、よく話し聞いてたから。とんでもない逸材が入った。って。」

「え、わたしなんか、全然…」


そう答えるとナナミさんはクスクス笑って繊細なデザインのカップにミルクティを注いで持ってきてくれた。


「そうそう。逸材なのに、いつも自信がなさそうで、放っておけないって笑ってたよ。」

「本当ですか…?」

「本当。あと、新人の頃のナナミを見てるみたい。って言ってて。だから絶対仲良くなれるよ。って言われてからずっと華ちゃんとお話してみたかったの。」




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