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タワーマンションの恋人
第9章 * ナナミ


確かに、と思い頷くとナナミさんの手がわたしの手に触れた。

温かくて柔らかい指先は女性らしくてドキリとする。


「だから、こうして、こういう状況で私たちが存在してることは意味があるんだよ、きっと。良くさ?男の子って彼女が出来ると急に格好良くなったりするでしょ?」


「あ、確かに。学生時代とか、本当男の子ってわかりやすいなぁ、って思ってました。」


「彼らにも、同じ現象がちゃんと起きるの。」


「え…?」


「華ちゃんに出会って、急に格好良くなったり、仕事を今まで以上に頑張ってたり、そういう変化が彼らには絶対起きるの。」


ナナミさんのその証明するような決定的な口調は、今までの経験から絶対的な自信があるようだった。


「会社は、そういう男としての輝きを見い出す意味でも、この部屋を作ってるんだよ。心の繋がりも、体の繋がりも両方あってこそ、男の子って、女から見た魅力的は男になっていくんだろうね。」


「…わたし、この仕事…やっぱり勘違いしてたのかもしれません。」


「勘違い?」


「…もっと、ちゃんと彼らと向き合いますね…。こんなに意味のある、仕事だなんて、わたしは気がつけなかった…。」


「彼らを輝かせる仕事だと思うとね?すごく楽しくなるよ?彼らの成長や変化を見守っていけるのってすごく嬉しいことなんだよね。」


そう笑ったナナミさんは本当に可愛くて。
行動や発言のひとつひとつが優しくて、柔らかい。
彼女が天使と呼ばれる理由なんて、一目瞭然だった。



いつか、わたしも彼女みたいになれるのかな、
その感情はわたしの目標になり、先の見えなかったわたしにとっての希望となった。








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