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タワーマンションの恋人
第10章 * シュウタ



ゆっくり彼自身が抜かれるとそれすら感じてしまう。



「あっ…」


「朝からなんて顔してんだよ」


彼が服を着ながら少し笑ってソファに横たわるわたしを見下ろす。


「…どんな顔、してる?」

「んー。溶けてる。えろい。」

そう言ってわたしの唇をそっと撫でる。

「唇もほっぺも真っ赤。すっぴんなのにな。」

服を全て着直すと彼は近くにあったブランケットをそっとわたしの身体に掛けた。

「もう一回寝るなら、ここじゃなくてベットまで運ぶよ。」

彼がわたしと視線が合うようにソファの前にしゃがむからゆっくり首を振り、身体を起こそうとすれば彼はわたしの身体を制した。


「いいよ、横になってて。俺、適当に出るから。」

と、言い残し洗面所に消えていった。





しばらくして戻ってくると彼の身なりは完璧。
あとは小さな頭にツバの広いハットを乗せるだけのようだった。


「じゃ、行くわ。ちゃんと朝飯食えよ。」

「ん、ありがとう。シュウタくんも、お仕事頑張ってね。」

わたしの髪をそっと撫でて、振り向きざまに一度手を振って彼は玄関を出て行った。



シュウタくんが歳上だからだろうか。
変な義務感にとらわれず、彼に寝てて良い。と言わればわたしはその言葉に甘えてぐったりと身を倒して居ることが出来た。


他の人だと、そうは行かない。
わたしが歳上だから、同い年だから…
完璧でいたいという見栄が勝ってしまって、彼らを送り出すまで完璧でならないと思っていた。



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