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タワーマンションの恋人
第3章 * ケイタ
エントランスから来客の連絡が入り、数分。
インターホンが鳴った。
「こんば、んわ?」
夏の終わりでまだ日が顔を出す18時にこの挨拶であっているのか急に不安になって疑問形になると、
扉の前で帽子を目深に被った男の子は少しだけ笑ってくれた。
「…こんばんわ。」
視線が交われば、男の子とは思えないその顔の小ささに驚く。
さすが駆け出しといえど、芸能人だな、なんて。
「どうぞ、入って?」
柔らかく笑って招き入れれば、また少しだけ笑ってくれて心底安心した。
「おじゃまします、」
少しだけかすれた、高いとも低いとも言えない彼の声は聞き心地が良くて、好きだな、なんて漠然と思ったんだ。