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タワーマンションの恋人
第3章 * ケイタ
「ケイタくんって、同い年なんだよね?」
飲み物を注ぎながら尋ねれば、居心地悪そうにウロウロしていた足が止まり「うん、そうみたい。」と答えてくれた。
「…あ、華ちゃんはこの仕事始める前は何してたの?」
沈黙を作らないようにか、ケイタくんから質問してくれたのだろう。
「わたしは、クラブで働いてた。でも、大学卒業してすぐは普通にOLとして働いてたよ。」
「そっか。華ちゃん、美人さんだからそれを活かさないと勿体無いもんね。」
そんな言葉を聞いて、ケイタくんはすごく気遣い屋さんなんだな、と思ったのと同時に、少し申し訳なくなった。
わたしが彼をもてなすのが仕事なのに、なんて。
「わたし、リストでケイタくん見た時からどっかで見たことある気がするんだけど…。CMとかドラマ出てた?」
そう尋ねると、奥原さんからもらったDVDなどをしまったラックにケイタくんが歩み寄っていく。
「…あ!これこれ!これにちょっと出てたよっ!」
すごく嬉しそうに手招きしてくれるケイタくんに近づく。
「本当?なら、次ケイタくんに会うまでにこれ、観ておくね?」
そう伝えれば「嬉しいなぁっ」と無邪気に笑うから、
可愛くて胸の奥がぎゅっとなる。
ずっと男=お金だと思うような仕事をしてきたから、久々の感覚だった。
「華ちゃんは、なんで、この仕事、引き受けたの?」
思い出したかのような、唐突な質問にドキリとする。
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