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タワーマンションの恋人
第11章 * 虚像
ふたりでご飯を食べて、順番にお風呂に入って
シオンの待つ部屋に向かえば、倒れたようにベッドに横たわる彼の姿。
綺麗な金髪が白いシーツの上に流れるように広がっていて、なんだか幻想的にさえ思える。
端正に作り上げられた人形のような顔は眠っていても美しくて、ベッドの上に横たわる姿さえ、1枚の絵画のようで神々しく思う。
その眠った横顔にそっと触れると、唇の端がくすぐったそうにあがる。
その無防備な表情は赤ちゃんみたいで可愛い。
若さに任せてわたしを抱く彼からは想像が出来ない表情に思わず笑みがこぼれる。
「たまには、いいよね?」
部屋の明かりを消して、寝ている彼の隣に滑り込み、鼻先にそっとキスをする。
「おやすみ。」
たまには、こんな夜があってもいいよね?
彼の穏やかな寝息を聞きながら、わたしもそっと瞼を閉じた。
朝起きたら「なんで起こしてくれなかったの?!」なんて怒るかもしれないけど。
今日は無防備な彼の少し高い体温を感じながら眠れる幸せを噛み締めたかった。