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タワーマンションの恋人
第12章 * 嫉妬
目を覚ましたのはリビングのソファーだった。
着心地の良いルームウェアの感触が身を包んでいる。
身体を起こそうとするけど、びっくりするほど力が入らない。
『華?目ぇ覚めた?』
甘ったるくて不安げな声がして、ソファまでやってきたのは「リョウマ、」セットされてない長めの髪が目に掛かっていて、なんだか不安そうな表情を浮かべている。
まるで悪さをした子どもみたいにバツの悪い顔をしている。
『華、あの…ごめん、ね?』
床に座ってソファのわたしを覗き込むリョウマ。
なんだか、記憶を手放した時のリョウマとはまるで別人のようで、あれは夢だったのかな、なんて不思議な気持ちになる。
『俺、』
そう呟くとうつむく彼の目にじわじわと涙が溜まっていく。
「…リョウマ…?」
そう言って横たわっていたソファから少しだけ上半身を起こせば、驚くほどの強さで抱き締められる。
『ごめんね、華…俺、』
震えるその声を聞いていると、思わず男の子にしては華奢なその背中を抱き締め返さずにはいられなくなる。