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タワーマンションの恋人
第12章 * 嫉妬






『華は、俺のことだけを好きには、なってくれないからっ…』

「え…?」

『どんなに俺が華を好きでも…俺のものにはなってくれない存在だからっ…。』

「リョウマ…?」

『華のこと好きなのは、みんな一緒だから…きっと。キスマーク見たらそんなことが頭を過ぎって…。』

声を震わせながら、ため息をつく彼の声が突き刺さる。

『一層のこと、嫌いになってくれれば良いって思った。拒絶してくれれば諦められるかもって…。でも、』


そこまで話して顔が見える距離まで体を離す。


『やっぱ、俺、華に嫌われたくないよっ…』

そう言って俯く彼はポタポタ涙を流していて。

「嫌いになんて、ならないよ?だから…リョウマ、泣かないで?」


わたしにはそんな言葉しかかけられなくて。
彼の心の中で考えていたことも、葛藤も気が付くことが出来なくて、傷つけた。



それでも、わたしは彼の気持ちに向き合うことも、答えることも出来ないんだ、と思い知った。


やっぱり、わたしができることなんてどうしようもなく少なくて無力だった。




わたしはこの先、誰かを好きになることが出来ないのだろう。
人を好きになる資格なんて、わたしにはもうきっと無いんだ。




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