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タワーマンションの恋人
第15章 * 普通




フライ返しを片手に真剣な顔をするハルキ。


その姿はやっぱり雑誌の1ページのようで様になるなぁ、と感心してしまう。



彼の背中を見ると、わたしはどうしても抱きつきたくなるんだ。
そっと近づいて彼の背後から抱きつく。



「わっ!びっくりしたー!ったく、焦げたらそっち、華ちゃんの分ね?」と笑って、そっとわたしが回したら手に触れてくれる。


その仕草にまた彼の優しさを感じてなんだか胸が詰まってしまうから、おでこをそっと彼の背中に当ててみた。




「どうしたの?甘えん坊じゃん。」

「ハルキの背中って、抱きつきたくなる。」


そう言うと歌うように柔らかく笑う声が聞こえて、
「いくらでもどーぞ?」なんて言うから、心の鍵がふっと解ける感じがして泣きそうになる。


これじゃあ、わたしの方が元気もらっちゃってるなぁ。
ちゃんと仕事しなきゃ。わたしが癒やさなきゃ。
そう頭の片隅ではわかってるはずなのに、なかなか彼から離れる事が出来なくて。


そんなわたしをうっとおしがる様子もなく、あやすように接してくれる。




「なんか、普通のカップルって感じだね?」

そう言って抱きつくわたしに振り向いて言ったハルキの優しい笑顔みるとやっぱり、なぜかどうしようもなく泣きそうになった。





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